入所待ちの子ども増加/課題は「独自の財源」「労働環境の整備」「施設による格差」など/寄付は外資企業が多い等……児童養護施設を訪問(2)


日本では最先端のほう?と思われる施設さん。
メモ羅列ですが、興味深い内容で勉強になります。。
訪問させていただき、ありがとうございます!
(引き続きどうぞよろしくお願いいたします)


<メモ3:2014/01/16>

(全施設の関係者1000名以上の法人)
(すれ違う職員の皆さんの挨拶が明るく柔らかく良い印象!
 庭にはニワトリ小屋や遊具グラウンドもあったり)
(子育て等を終えた50代以上の女性「家事のプロ」さんたちが
 食事を作りに14〜18時で出勤。まとめて調理したものを各部屋に
 配膳するのではなく、グループの部屋ごとに材料を持っていき、
 その部屋で調理する=手間やコストはかかるが、子どもたちに
 調理のプロセスを見せる方針)
(子どもの日課は特になく、食事を一緒にするぐらい)

・今、福祉の分野で注力されている順位は
 1.老人介護(誰もが老いるため注目されやすい)
 2.保育園や幼稚園(お金を払い評価する人=親がいるため)
 3.児童養護施設(順位は低め。。。)

 東京都福祉協議会(セントラルプラザ)が東京の福祉の中心地。

・現在、日本で「保護が必要」と言われている児童は3万人、
 理想は「グループホーム1/3、里親1/3、その他の施設1/3」
 と言われるが、現在は「里親1割」
 小学中学年以下のほうが家庭への戻りは早い。
 (高学年以上の子どもは里親も見つかりにくく
  家庭にも戻りにくい=子ども側から親を拒否する場合も)
 早くて1年。平均5〜6年。
 施設にいる間(問題がなければ)親が施設を訪れて
 一緒に遊び方を学んだり、一緒に泊まったり等も。
 →大地の家は「0歳〜小学校中学年」のみ対象として
  その間に家庭へ戻せることを目標にしている。
 →本園は中高生が7割。

・プライバシー保護や個々が抱える問題への個別対応のために
 「家庭に近い少人数の環境」が主流になりつつ(グループホーム)
 人員配置の礼……MAX児童8人のグループで、各グループに
 スタッフ3人+2グループを統括する主任1人。
 =運営的には人件費も光熱費も増えて大変。赤字。

・「子ども家庭支援センター」:受ける問題の8〜9割が虐待。
          ネグレクトや「しつけ」の暴力も含む。
          愛情のある暴力かどうか……判定は難しい。
 →「児童相談所」:通所と判定される子どももいる。
 →「一時保護所」(東京には4カ所あり定員100人):常時満員の状態。
 →「児童養護施設」:全国95%以上の充足状態。
         子どもの1割以上は通院または服薬している。
 =入所待ちの子どもが増加(施設に入れるまで1〜3か月待ち)
 =毎年1箇所は新しい施設作りの要請あり。
 しかし住民の反対の声で建設不可となる場合も少なくない
 グループホームでも反対される(グループホームは借家が多い)。
 2009年から始まった新しい制度「ファミリーホーム」もあるが……。

・子どもたちの「自尊心」の育成。
 高校生以上にはアルバイトを許可。「自立」が目標。
 =「将来の種」になるような経験の機会を増やす方針。
 例:サッカー/絵画/学習塾/ピアノ/英語/企業から
 PCの提供や職員へのIT教育等(マイクロソフト)/
 企業見学や寄付(協力してくれる企業は外資が多い!)/
 ボーイ&ガールスカウト/ライオンズクラブの留学生交換など。
 自らバンドをやっている子もいれば(ギター等の機材は先輩が
 置いていったり寄付してもらった施設にある古いものを使うか、
 各自でアルバイトして購入)ひきこもる子もいるが、周囲から
 参加しやすい空気を作るイメージで、色々取り入れている。

・どの児童養護施設も運営は「補助金メイン」。
 寄付はあるがメインにはならない額。
 法律で定められた最低限の人員配置(児童6人に保育士1人)等を
 ベースに補助金が決まる=施設の小規模化もあり、足りていない。

 そのため、例えば高校進学で「私立」を選択可能にするかどうかは
 施設の判断によってしまう。本園ではサポートする方向。
 =子どもは施設を選べず「預けられた施設による格差」は
  出てしまっていると思う。

 →助成金も人員も設備も不足、問題解決できていない現状。
  「日本は少子高齢化だから」と、政府が福祉の予算配分や
  人員配置の予想を見誤ったと思う。。。
  先をゆく欧米の福祉に学ぶことは昔も今も多い。

・今後、施設の課題だと思うこと:
 ●奨学金など「独自の財源」作り
 ●子どもが施設を出たあとのケア

 頼る場の少ない卒業後の子どもが、お金や援助を求めて
 施設に来ることもある。→心ある職員の「私物」持ち出しも……。
 →国の助成金だけに頼らない仕組み、企業プレゼンをして
  スポンサー獲得など、理事長が諸々動いている最中。
 (本ブログ記事の末尾も参照)

・現場の保育士は20〜30代が中心。新卒入社が多い。
 施設内に寮もあるが、泊まりや朝6時からの出勤もあるため、
 結婚/出産での退職が多い(親同居で続ける人もいたりはする)。
 →子育て経験のある方に加わってもらえる「労働環境の整備」も
  今後重要
。管理職であれば日中のみの勤務。

・児童養護に関わる心構え、勉強/身につけておくと良いこと:
 ●現実には色々違うことも多いが、虐待の反応パターンを学んでおく。
 ●「忍耐力」は不可欠。
 ●状況や子どもの記録をメモする癖も。
 ●家庭の柱(子ども)を支える料理や裁縫等、沢山の引き出し。
 ●社会的な行動力。政治家を使って働きかけ……等。
 ●資金(新しい施設を作るには自己資金の問題も大きい)。

・海外との連携について:
 フィリピン施設団体に東京児童施設から数人派遣され
 現地でレクチャーした(NPOアクションが仕切り)。
 韓国の施設とは毎年の交流行事あり。
 マレーシアでボランティア/カンボジアでの小学校作りなどに
 関わる職員も。ただしNPO団体を通しての活動。

・園の理事長が「学問としての児童養護」と「現場」の乖離を
 解消すべく立ち上げた「日本児童養護施設実践学会」。

「施設による違いも色々あるかと思うので、ぜひ
 色々なところを訪問してみてくださいね」との言葉も。

この施設は約100年前に、菓子卸業を興した稲永さんと
いう方が、親のない浮浪少年たちを引き取り育てたことが
始まりです。私的な保護/私財の投与。
(先日訪問して感銘を受けた施設も、地域の地主であった
 創始者が土地を処分したお金で少年たちを私的に保護)
心とお金。

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