加藤諦三『「日本型うつ病社会」の構造』→今も心に残る「恋愛SLG」2選


ラジオ「テレフォン人生相談※」における相談者の奥底心理ぶったぎり術、「正しい態度で自分の運命に対処する」などなど毎回シブい〆のお言葉。
に魅せられ、ハマった加藤諦三さん。著書3冊、読みました。


加藤さんは番組パーソナリティであり相談を受ける「専門の先生」ではないのだが、その先生たちが「加藤さんの意見も聞きたい」と話を振り、振られた加藤さんがピンポイントで相談者に斬り込む!!! ……毎度感嘆と怒涛の展開に。

一番印象に残ったのは『「日本型うつ病社会」の構造—心理学者から見た停滞する日本の現状と未来』で述べられていた内容。

「日本人の心の崩壊は、高度成長期に起きた。不況やゆとり教育が崩壊の原因ではない。」

何となく、分かる気がする。
ちょうど数日前、某新聞のコラム「定年を迎えた団塊世代の男たちの嘆き」を読んだ時も、軽く衝撃 かつ 我が父を重ねて「何となく分かる気がする……」。

仕事を辞めたら何していいか分からなくて、女房の買い物にくっついていくのが生き甲斐になりかけてたんだけど、それすら『あなたがいると不要なもの買うから邪魔』と断られて。 
俺の人生、詰んだなって。

高度成長期、団塊世代の家族像。
キャリア形成的なセミナーを受講し「もっと昔に聞きたかった〜」と話す母、それすら無関心な父。高度経済成長の中、個の人生設計は横に置き「24時間戦えますか」なジャパニーズ・ビジネスマンとして生きてきたのかな。と。思うと。と……。

(とはいえ、団塊世代すべてがそうではなく「自分の楽しいこと」をやっている方もいるし、全共闘など学生運動で燃えた世代も含むわけで……)

高度成長期に、どんな心の崩壊が起きたのか? 日本人の心とは一体どうなっているのか??

そんな書籍のポイント、末尾↓↓↓にまとめたので気になる方はどうぞ。

他2冊『子どもを幸福にする愛 辛くする愛』『「やさしさ」と「冷たさ」の心理』も読み甲斐あったが、加藤諦三さんご自身も愛に飢えながら「良い子」の仮面をかぶり続けた幼少期だったとのことで、頷く部分ばかりではなく、胸中の吐露が切ない部分もあり……。

「子どもが欲しがっているものを十分に与えること。放任でも過干渉でもなく、見ていてあげること。子どもが望んでいないものを親のエゴで与えたり一般論を押し付けたり急かしたりしてはいけない。何かあった場合は『なぜそうなのか』を考えること。(例えば子どもが嘘をついたり暴力をふるう時も)」

そして、「愛に包まれて育った子は自己肯定ができ、周囲にも信頼され、創造的な人間になる」と、「愛に包まれて育った子」への熱烈な期待(?)を書かれているのですが、

辛い幼少期を過ごした加藤諦三さんだからこそ、こうやって心理学に興味を持ち、人生相談で真摯な受け答えをされるのであろう。とも思うのです。

全方向100%満足な子育てって、あるのだろうか? 正しく立派な親の愛に包まれて育った子は実際、どんな子に育っているのだろうか?
幼い頃、私も「良い子」で悲しかった。20歳を超えても甘えることが苦手だった。それで、辛いことを辛いと話せる場/人こそ大事なんだと胸に染みて分かったし、辛いことこそ話すことが重要だと分かった。(露悪趣味でもあるw)

傷ついた経験、正確に言えばその傷を直視した経験がある人だからこそ優しく、強く、なっている気がする。
(歌川たいじさんの『母さんがどんなに嫌いでも』『母の形見は借金地獄』読んでも、そう思うのだった)



傷はゼロにはならず時々戻ってくるけども大人になれば、当時の親の気持ちも分かるし「これからのほうが人生、長い!」と思える。子どもたちも、誰もが「これからだ」と思えたら。

「人生は1回限りのエンターテイメントだ」

なぜか小学生頃から、このテーマが私の脳内にある。大好きなアニメ「マインドゲーム」「四畳半神話体系」等にも似たようなテーマを感じるのだが、一体どこから、この考え方は出てきたのだろう。

幼い頃から読書が大好きだった……本から??
自然の中での空想あそびも(探検ごっこや秘密基地)好きだった……空想あそびから??
ゲームも好きだった……RPGやSLGから??
マイケル・ジャクソン好きだった……Man In The Mirror??

っと、要因/要素を思い返していたらば、「恋愛SLG※のエッセンスを育児/教育に使うのはありかもしれないね……」と思えてきたと同時に、「そういえば以前、Sさんに『恋愛ゲームの魅力についてプレゼンしてよ!』と言われたな〜」と思い出しまして
※恋愛SLG……恋愛シミュレーション・ゲーム、
現在はノベル形式が主であり、内容により「ギャルゲー」「乙女ゲー」等と呼ばれる。



「今も心に残る『恋愛SLG』2選」

絵に描いてみました。


なんて分かりやすい、話の横道逸れ!!!


その1:トゥルー・ラブ・ストーリー
その2:みつめてナイト

恋愛SLG。ある意味「ストーカーゲーム」とも言えるのだが(狙ったキャラをしつこく追うため)スタートは同じでも時間の過ごし方や会話の選択によって、A子ちゃんとの恋愛が成就したりB子ちゃんが犯罪を起こしたりC子ちゃんの出生の秘密が分かったりする。

そんな恋愛SLGにハマって何を得たかというと

■ものごとには色々な見方/切り口がある。
■こちらの投げかけるものによって世界は変わる。
■人生とはマルチエンディングだ。


何か、育児に使えないかな、、、(いじめ問題やコミュニケ—ションの対策としてシミュレーションゲームを使った事例はいくつか見たことあり)

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さて。本筋(?)に戻りまして。

以下、加藤諦三さんの著書『「日本型うつ病社会」の構造』概要まとめです(自分用メモ):

■そもそも私たち日本人は「貯蓄性向型」「執着性格者」。

・貯蓄性向型=貯金より株が「必ず」得すると思えば株を買う。リスクを伴うなら買わない。皆がバブル期に土地や株やゴルフ会員権を買ったのは、日本的同調型社会の「投資」であり心理的に本来の「投資」をしてはいない。

・執着性格者は「何かしたい」という欲求が希薄、「しなければ」という規範意識のほうが強い。高度成長期の企業戦士たちは仕事に興味があったわけではなく、自分の欲望が明快でなかったからこそ働かねばならなかった。自分の内なる「自然な子ども」を押し殺し、楽しむ能力のないまま、良い子でい続けた。自己を持っていないために、マイナスの暗示にかかりやすく、将来を悲観してはお金を貯める。

・<アメリカ>リスク・テイカー/合理主義/変化を喜ぶ。戦争は正義。
 <日本>リスク・アボイダー/情緒的/変化を嫌う。庇護下で「反戦・平和」を唱えていたい??
 ※アメリカの女性に比べ、日本の女性は生命保険契約高が倍=夫の死後を心配する傾向。
 ※小学生への質問「母親はあなた(子ども)を大人のように思っているか」という質問に、「はい」日本10%/アメリカ65%(昭和53年)。(「身近な人の変化を受け入れられるか」は「社会変化の受け入れ」を測るひとつの指標)


■中途半端に取り入れられた「民主主義」「自由主義」

・トーマス・ローレンの挙げる以下のような民主主義的価値が教えられなかった。「個人の権利」「草の根の率先性(率先して行動すること)」「自由と社会的正義」(誰かに頼る民主主義社会などないということ)

・自由主義の競争原理だけが教えられ、自由主義の価値の側面が教えられなかった。「人間には、競争における勝敗や政治的分野に解消しつくすことの出来ない内面の価値があるのだということ」


■日本人の心が壊れていったのは、高度成長期。不況だから心の荒廃が起きているのではなく、経済がうまくいっていた成長期に荒廃が起きた。

・家庭における「役割」というアイデンティティ。父親は自我を確立しないまま、アイデンティティを仕事でのみ得る「企業戦士」として振る舞い、家庭内や近所の人間関係からは遠ざかった。母親は、父親不在の家庭で「教育ママ」として活躍。役割の下、それぞれ上昇志向で必死になっていた。=心のふれあいは喪失。

・経済至上主義の価値観の中では、例えば一戸建ての家を建てることが男の価値になった。子どもの成長にとって重要なのは一戸建てではなく「台所で笑い声が聞こえること」といった認識が欠けていった。社会的問題を起こした子どもの親が「家族旅行もしたのに」「色々買ってあげたのに」と言うが、「子どもは楽しかったか?」「子どもは何を求めていたか?」等の視点が不足。まだ使えるものを捨て、新しいものを次々に買い、買うお金を稼ぐことで苦労し疲弊する人々。愛の体験/生きがいを持てず手応えのない自己存在、「存在感喪失症状」にかかる青少年も増加。

・どう生きていいか本当は分からないままに役割をこなすことに必死な日本人の裏で、甘い汁を吸おうとするズルい日本人も増えてきた。

・絵を理解できないのに高級絵画を買い漁り、ゴルフをしないのに会員権を買い漁ったバブル@高度経済成長期は、「心の虚しさを埋めようと必死になっていた時代」だと、日本人は理解する必要がある。

・そうして高齢者がコツコツ働き貯めたお金を「怠惰な若者に簡単に使わせて良いのか?」といった心理的な議論が全くされず「贈与税を下げれば需要が喚起される」等、いつまでたっても「お金/お金の価値観」に基づく対策ばかりされることが問題。


■その時代その時代に解決すべき課題は違う。=時代ごとに、求められている性格も違う。

・高度経済成長/企業社会の時代には、防衛的性格を持つ日本人の生真面目さが適したが、変革の時代である今に、多くの日本人の性格は適していないかもしれない。それを認識すること。

・生まれつきの性格はそこまで変わらない。それぞれ適正/気質に反した生き方は避けるべき。生まれつき興奮しやすい扁桃核を持った子どもとそうではない子どもがいる。(敏感反応=抑制型、交感神経が活発、右脳、大企業向き)(低反応=非抑制型、副交感神経が活発、左脳、ベンチャー向き)

・日本人の性格を無視した政策立案は無駄。消費活動も、性格によるもの。経済政策と同時に「教育」が必須。


■「上昇志向をやめ、価値観の歪みを直す」という時間のかかる政策が、本来は必要。(繁栄=経済成長、成長がない=衰退、の発想から脱却)

・失業率 VS うつ病の増加。経済成長による心の病が視野の外に置かれている。心の病も周囲に伝染する。人は無気力になると状況を変えても反応しない。施設や支援を増加しても、それに反応するのはエネルギッシュな人間だけ。

まずは皆が休んで、エネルギーを補給すること。=国民全体として生活レベルを下げること。今減税しても日本人の性格的にお金は使われない。国の財政についてちゃんと政府と国民が共有し合い、年金減額/増税、必要なお金を協力して払うこと。

・「年功序列」「終身雇用」「企業の運命共同体化」の復活を。もちろん昔のままではいけないが、ただ廃止するのではなく、日本人の性質に合わせた変革が必要。

自ら楽しいことをする人間を育成する必要がある。「●●が好きだ」という子を増やす教育を。数学が出来ても数学が嫌いな子は将来伸びない。好きな子は将来も勉強するだろうから伸びる。